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MEDICAL

緑内障について

緑内障と眼圧について

眼圧の正常値とは

緑内障は視野が欠けてくる病気です。

主な原因は「眼圧」です。眼圧の正常範囲は10〜21mmHgで、眼圧が21を超える高眼圧緑内障と日本人に多い正常眼圧緑内障(眼圧が正常)のどちらに対しても「眼圧下降治療」が効果的です。しかし、この2つの緑内障に眼圧下降治療をして目標眼圧に到達しても、視野が欠け続ける症例が存在します。これらのグループは眼圧下降治療だけでは、悪化を止めることはできません。

目標眼圧はあくまで「進行を遅らせる」ための目安です。「目標達成=100%停止」ではありません。早期発見・治療を行った場合でも、5 年間の経過観察で、約45%に進行が見られたとする研究もあります。

これまでは眼圧下降治療はまず点眼治療を行っていましたが、最近は「SLTレーザー」を第一選択にする傾向が増えています。点眼治療とSLTレーザー治療のメリットとデメリットを理解し、生涯に渡る眼圧下降治療の継続を忘れないでください。

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初期緑内障は19以下、中期は16以下、後期は14以下が推奨されています。しかし、この目標値をクリアしても悪化する症例があることは先に述べた通りです。眼圧「正常値」の話しは少しややこしいのです。この「正常値」は単に「日本人の95%がこの範囲に入っています」という値です。仮に眼圧25の人で眼圧以外の検査異常を認めない場合はまだ緑内障ではない高眼圧症と診断します。このようなグループの経過観察をすると、10 年間で 10%が緑内障へ移行します。さらにもう一つ、眼圧の高低にかかわらず視神経の顔つきが視神経乳頭拡大(緑内障と同様)であっても、まだ視野検査に異常が見つからないグループを前視野緑内障(PPG)と診断します。しかし、この前視野緑内障のグループの経過を追うと、将来的に真の緑内障になる確率は 30%~60%ほどあるという報告があります。要するに、高眼圧症は「視神経がまだ耐えている状態」、前視野緑内障は「視神経がすでにダメージを受けているが、まだ視野は欠けていない状態」です。

 

これはつまり、視神経を構成する網膜神経節細胞が丈夫な人は眼圧が25でも大丈夫で、弱い人は眼圧が10であっても正常眼圧緑内障を発症してしまうということなのです。ここで重要なことは眼圧以外に網膜神経節細胞を弱くする原因を見つけ出すことです。当院ではこのようなことを踏まえて、眼圧以外の緑内障を悪化させる要因について、時間をかけて解説しています。視神経を強く丈夫にする「栄養素療法」や「生活習慣改善プロブラム」も実践していただいています。

緑内障治療について

緑内障治療で最も重要なこと

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緑内障治療で最も重要なことは「眼圧下降治療」を生涯続けることです。眼圧ストレスを低減して神経細胞死を予防することが治療の基本です。日本の緑内障治療状況は、初診から3ヶ月後にもう3割が脱落し、2年後も治療を継続している人は6割で、4割もの人が脱落しています。

 

大半の緑内障は数年〜十数年で徐々に進行するため、知らないうちに視野が悪化しています。気付いたときにはすでに重症化していることもあります。軽症のときから治療を継続していくことが大切です。そうしてもうひとつ、眼圧以外の悪化要因を見つけ出すことも重要です。

緑内障治療の現在と未来

すべての緑内障治療の標準治療は、「眼圧下降治療」です。その種類は以下の3つです。

  • レーザー治療

  • 点限治療

  • 外科手術(観血的手術:切開をし出血を伴う処置)

 

手法は異なりますが目的は全く同じです。「眼圧を下げること」です。

しかしこのところ眼圧が十分下がっているのに悪化する緑内障が問題となっています。

眼圧が十分下がっているのに悪化する緑内障

眼圧だけが悪化原因ではなく、様々な危険因子を原因とする緑内障があります。目標とする眼圧が治療で維持されているにもかかわらず、視野が悪化し病状が進行するグループで、このタイプの緑内障を克服するには眼圧下降一辺倒の治療では対処できません。当院ではこのタイプの緑内障治療に、特に力を入れています。

また、全緑内障症例のごく一部ではありますが、点眼、レーザー、内服治療に抵抗する高眼圧緑内障で観血的手術を必要とする症例は入院施設のある医療機関をご紹介致します。

当院の緑内障治療の選択肢
​(外科的手術を除く)

3つの緑内障治療

緑内障治療には複数の治療の選択肢があります。当院では患者様の病状や要望に合わせて、適切な治療法をご提案しております。

1)SLTレーザー
(保険診療)

眼圧を下げる治療としてSLT(Selective Laser Trabeculoplasty:選択的レーザー線維柱帯形成術)を提供しています。SLTは目の組織に優しい治療で、点眼に代わり第一選択治療として選択する試みが広く普及し始めている治療です。繰り返し治療が可能です。保険が適用されます。

2)点眼治療
(保険診療)

定期的な点眼により眼圧を下げる治療です。

​全身および局所に現れる副作用を理解して使用することが大切です。

3)神経再生治療
(自由診療)

正常眼圧であるにもかかわらず、視野が悪化し続ける方への治療方法として神経再生治療を提供しております。神経再生治療は保険外診療(自由診療)です。

神経再生治療(自由診療)が適応となる
正常眼圧緑内障について

正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内であっても視神経が脆弱化し、視野や視力の低下を引き起こす疾患です。高眼圧緑内障と異なり、目標眼圧に低下後も進行する症例が存在し、非常に扱いが困難です。


日本における緑内障患者の70%がこの正常眼圧緑内障に該当し、多くの症例が眼圧管理だけでは進行を止められず、失明のリスクに直面しています。
その病態メカニズムは未だ完全には解明されていませんが、遺伝因子、異常タンパク質の蓄積、炎症、血行循環障害、酸化ストレス、糖化ストレス、自己免疫疾患などの複合的な要因が関与していると考えられています。


このことから、緑内障は単なる眼疾患ではなく、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなどと同様の「神経変性疾患」に分類されます。当院の調査では、認知症患者の60%に緑内障の合併が確認されており、両疾患の関連性が示唆されています。※認知症専門クリニックとの合同調査による。

目標眼圧に到達しているが視野が悪化する
正常眼圧緑内障に対する治療方針

慢性炎症の抑制によるインスリン抵抗性の改善と異常タンパク質の制御、視神経修復過程における軸索・シナプス・樹状突起・スパインの再生促進、グリア細胞の修復・ 再建、そうして細胞外マトリックスの再構築による篩状板の修復を目指した総 合的な治療アプローチを採用しています。

緑内障点眼の功罪

緑内障治療で最も重要なこと

緑内障点眼の「功」は眼圧下降作用、「罪」は副作用です。副作用に困っている患者さんが増えていることは医療界においても問題です。呼吸器科的には、喘息が悪化したり強い喘息発作を誘発することがあります。タバコの煙などの有害物質が原因で肺が炎症を起こして発症する慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎の悪化などが知られています。循環器科的には、低血圧、失神、徐脈性不整脈、心不全、心停止などが誘発されます。これらは、β遮断薬(βブロッカー)の点眼で起こる可能性があります。発生すると命に関わることがあります。一人暮らしのご老人はとくに気をつける必要があります。夜間や就寝中に発症すると救急事態が発生し助けを求められない可能性があるからです。ここまでは全身の副作用についてお話しをしました。

 

ここからは眼球周囲の局所の副作用についてのお話しです。このところ形成外科的には、緑内障点眼治療をしている患者さんの「眼瞼下垂」の症例が増えているということです。増加理由は緑内障有病率の増加や高齢化およびそれに伴う長期間の点眼治療で、これらが眼瞼下垂を誘発しています。緑内障で視野が狭くなっている上に、さらに眼瞼下垂で上方視野が狭くなることは、患者さんにとっては不利益です。もうひとつ「色素沈着」があります。目の周辺の皮膚が黒ずむ症状です。女性は特に気になさる方が増えています。

 

最後に重大な緑内障の病態の本質にも関わる副作用があります。それは「眼球陥凹・陥没・目の落ちくぼみ」です。眼瞼下垂と同様、老化によって自然に起きてくる現象と考えられがちですが、実はプロスタブランジン製剤点眼を使用している方は、相乗的に目の落ちくぼみがひどくなります。眼瞼下垂は手術で対応できますが、眼球陥凹は経過観察が現状です。この現象がどのような仕組みで起きてくるかが医学的に解明されてきました。

美容上の問題であるかのように考えがちですが、実は緑内障進行の仕組みに関連します。世界の眼科医は、緑内障の病態と緑内障点眼の「功罪」について再検討すべき時に来ています。

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